高齢化が進む現代、介護が必要になった際に「在宅介護」と「施設介護」のどちらを選ぶべきか悩む方も多いでしょう。この記事では、両者の特徴や費用、サービス内容、メリット・デメリットを初心者にも分かりやすく解説します。適切な選択をするための参考にしてください。
1. 在宅介護とは
在宅介護とは、要介護者が住み慣れた自宅で生活を続けながら、家族や外部の介護サービス(例:ホームヘルパー)を利用して支援を受ける形態です。訪問介護やデイサービスなど、多様なサービスを組み合わせて提供されます。

在宅介護のメリット
- 住み慣れた環境での生活
自宅での生活を継続できるため、精神的な安定が期待できます。 - 家族との時間を共有
家族と一緒に過ごす時間が増え、絆を深めることができます。 - 柔軟なサービス選択
必要に応じてサービスを選択・組み合わせることが可能です。
在宅介護のデメリット
- 家族の負担増加
介護の多くを家族が担うため、身体的・精神的な負担が大きくなる可能性があります。 - 自宅の設備制限
バリアフリー化など、住環境の整備が必要になる場合があります。
2. 施設介護とは
施設介護とは、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、グループホームなどの介護施設に入居し、専門スタッフから24時間体制の支援を受ける形態です。医療ケアやリハビリテーションなども施設内で提供されます。

施設介護のメリット
- 専門的なケア
介護のプロによる適切な支援が受けられます。 - 家族の負担軽減
日常的な介護を施設が担うため、家族の負担が軽減されます。 - 安全な生活環境
バリアフリー設計や緊急時の対応など、安全面が確保されています。
施設介護のデメリット
- 費用が高め
在宅介護に比べて、月々の費用が高くなる傾向があります。 - 生活の自由度制限
施設のルールやスケジュールに従う必要があります。 - 環境の変化
新しい環境への適応が難しい場合があります。
3. 費用の比較
在宅介護と施設介護では、かかる費用が異なります。以下に、要介護3の場合の月額費用の目安をまとめました。

項目 | 在宅介護 | 施設介護(特別養護老人ホーム) | 施設介護(有料老人ホーム) |
---|---|---|---|
居住費 | 自宅のため追加費用なし | 約59,100円 | 約105,000円 |
介護サービス費 | 約26,931円 | 約22,432円 | 約20,342円 |
医療費 | 約6,000円 | 約6,000円 | 約6,000円 |
食費(30日分) | 約40,000円 | 約42,000円 | 約45,000円 |
日常生活費 | 個人差あり | 約10,000円 | 約10,000円 |
その他(娯楽費・交通費等) | 約15,000円 | 約10,000円 | 約10,000円 |
合計 | 約108,141円 | 約159,532円 | 約206,432円 |
注: 上記の数値は目安であり、地域やサービス内容によって変動します。
4. サービス内容の比較
在宅介護と施設介護で利用できる主なサービスを以下にまとめました。
サービス内容 | 在宅介護 | 施設介護 |
---|---|---|
訪問介護(ホームヘルパー) | ○ | × |
訪問看護 | ○ | × |
デイサービス(通所介護) | ○ | × |
ショートステイ(短期入所) | ○ | × |
入浴・排泄・食事の介助 | ○ | ○ |
リハビリテーション | ○ | ○ |
レクリエーション活動 | △(デイサービス利用時) | ○ |
医療ケア | △(訪問看護利用時) |
5. まとめ:選択のポイント

在宅介護と施設介護の選択は、要介護者の状態、家族の状況、経済的な面などを総合的に考慮する必要があります。
- 在宅介護は、住み慣れた環境で生活できるという大きなメリットがありますが、家族の負担が増える点や、自宅のバリアフリー化が必要になるケースもあります。
- 施設介護は、専門スタッフによる24時間の介護サービスが受けられるため、家族の負担が軽減されますが、費用が高くなる傾向があるため、予算とのバランスを考える必要があります。
>> 選択のポイントまとめ
選択基準 | 在宅介護が向いている人 | 施設介護が向いている人 |
---|---|---|
介護の負担 | 家族が協力できる | 家族の負担を減らしたい |
要介護度 | 比較的軽度(要支援~要介護2) | 中度~重度(要介護3~5) |
住環境 | バリアフリー対応済み | バリアフリーでない |
費用 | 費用を抑えたい | 費用がかかっても安心を優先 |
選択に迷った場合は、地域包括支援センターやケアマネージャーに相談するのも一つの方法です。
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